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国保条例一部改正案への賛成討論(小山議員)
◆小山哲夫 私は,日本共産党新潟市会議員団を代表して,直接請求に基づく議案第134号新潟市国民健康保険条例の一部改正について,市民厚生常任委員長報告は否決でありましたが,私は委員長報告に反対し,条例の一部改正に賛成する立場から討論を行います。
この議案は,地方自治法の規定による直接請求によって提出された議案です。提出された署名数は9万7,681筆,有権者の15%であり,法定署名数の7.5倍に当たります。合併後初めてこれだけの署名とともに直接請求で条例提案され,多くの市民の皆さんが市政に参画されたことを,行政も議会も重く受けとめなければならないと考えます。
今回の直接請求による条例提案について,請求代表者の方は25日の本会議で,「市民の生存権を守るため,やむにやまれぬ思いで条例改正を求める直接請求運動に取り組むことにしました」とおっしゃっていました。負担増から市民の暮らしを守ってほしいという切実な願いを背負い,7月の長雨の中,8月の猛暑の中,署名に頑張ってこられた皆さんに,議員団は心から敬意を表するものでございます。
提案の条例の内容は,一つはことし7月から引き上げられた国民健康保険料の料率を引き上げ前の料率に引き下げるものであり,引き下げに必要な財源は23億4,000万円と言われています。平成19年度には既に11億円の繰り入れが決まっていますので,新たに12億4,000万円の上積みでできるものです。もう一つの内容は,65歳以上の高齢者の皆さんを対象に,増税で引き上がった国民健康保険料の負担軽減を図るもので,実施に必要な財源は6,100万円です。これも平成19年度に限って言うと,市独自の軽減措置がありますので,差し引きで4,300万円の上乗せで実施できるものです。
私は,直接請求によって提出された本議案は,請求代表者も「市民の生存権を守るため,やむにやまれぬ思いで取り組んできた」とおっしゃっていたように,負担増で苦しむ市民生活を住民の福祉の増進を図る自治体として支えてほしいという切実な思いから出されたものであり,「保健・医療・福祉最先端都市」を目指す新潟市としてはこうした施策が実施されて当然であり,条例案をみずからつくり,提案されてきた住民の皆さんに敬意を表しながら賛成するものであります。
今議会では,本会議でも国民健康保険をめぐり質疑が交わされ,議案が付託された市民厚生常任委員会では,4時間半に及ぶ審議がされました。今議会の議論で何が明らかになったのでしょうか。
市は,国民健康保険料の17%値上げを諮問した国民健康保険運営協議会で,国保会計の歳入では,「所得の減から保険料収入は相変わらず伸び悩む」「依然として厳しい状況が続く」という予想を述べています。つまり国保会計の収入が伸びない要因に市民所得の減少を上げ,今後も所得は減り続け,保険料収入も減り続けるという見通しを説明していたわけです。市民生活の困難な実態は,議会でもさまざまな場面で指摘されていますが,市はこうした状況を把握し,予測しながら,あえて国民健康保険料の大幅な値上げを提案したということです。
明らかになった二つ目は,行政の説明責任の問題です。市は,市民生活の困難な状況を把握し,予想しながら引き上げを運営協議会に提案したことは,今ほど指摘しました。これ自体,自治体として許せないことですが,さらに重要なのは市の不十分な説明です。市長は,意見書で「国保運営協議会の答申を最大限尊重した」としています。しかし,運営協議会に対し,料率改定や増税の影響について正確に説明したとはとても言えません。特に65歳以上の高齢者の皆さんは,料率改定と増税の影響を同時に受けますが,全体の影響をあらわした資料は提出されておらず,料率改定の影響と増税の影響をばらばらに説明しています。
委員会審議でもそうした点を指摘され,市側も運営協議会に提出した資料の不十分さを認めると同時に,「しっかりした資料で説明されていれば,答申内容も変わったのではないか」に対し,「それは一理ある」などと答えている状況です。そうした不十分な資料での説明でも,運営協議会では低所得者への配慮を求める意見が幾つも出され,答申にも明記され,さらに「引き上げについて納得し切れない」という意見があったことが明記されていることを重視すべきであります。
三つ目に明らかになったことは,市が負担増で困難な暮らしを余儀なくされている高齢者や低所得者に目を向け,支える姿勢に立てば,やれなくはない条例内容であり,効果は高いということです。条例案には,附則の追加で,65歳以上の高齢者を対象に増税で引き上がった国保料の負担軽減を図る内容があります。実施に必要な財源は,先ほども述べたように6,100万円であり,平成19年度に限って言うと,市独自の軽減措置を差し引いて4,300万円の上乗せで実施できるものです。
市長は意見書で,公的年金所得に係る保険料の減額特例について,「一定の減免措置を行っており,これ以上のものは必要ない」としています。しかし,市の減免措置は,国の激変緩和措置が終わる平成19年度までであり,市民の負担が一番重くなり,最も支援を求めているときに市の減免措置もなくなります。
提案の附則の追加が実施されれば,増税の影響は取り除けないものの,65歳以上でひとり世帯の場合,年金収入169万円の方は,値上げ前1万5,300円だった保険料が,平成20年には5万6,000円と約4倍近くなるものを2万9,600円に抑えることができます。これでも値上げ前の約2倍です。それでもこうして低所得の高齢者を中心に広く支えられるわけです。6,100万円,実際は4,300万円の上乗せでこれだけの効果が出せることに対し,委員会審議でも市側も「6,100万円入れれば効果が高い」と答弁せざるを得ませんでした。こうした法定軽減に上乗せするという手法は,平成8年度から16年度まで新潟市もとってきたものであることも明らかになっています。私は,住民の皆さんが知恵を絞り,よくぞここまでの条例をつくられたものだと関心をし,敬意を払うものでございます。
こうした条例が住民の皆さんの直接請求によって提案されてくる背景には,市民の皆さんの暮らしの深刻な状況と切実な願いがあります。幾ら働いても働いてもまともな暮らしができない「ワーキングプア」に象徴される社会的格差と貧困の広がりが問題になっていますが,今回の直接請求を進める中でも,「食べるものも節約し,衣類は何年も買っていない。電話も売り払った」「1円玉をためて卵や野菜を買っている」など,ぎりぎりの生活を強いられている国保加入者が広く存在することがわかったと言われています。
さらに,幾つかの医療機関でも,「最近無保険の患者さんが来られる」と言います。聞いてみますと,「毎月の高い国保料がとても払い続けられず,医者にかかるときだけ全額払った方が安い」ということだそうです。まさに保険証1枚でいつでもどこでも安心して医療が受けられるという皆保険制度が崩壊し始めているわけです。「国保制度の維持,持続可能な国保制度のために,保険料の値上げはやむを得ない」などという主張がいかに机上の空論であるか,いかに実態からかけ離れている主張かがよくわかるのではないでしょうか。
また,新潟市の低所得者の軽減・減免制度の基準は,健康で文化的な生活を保障する生活保護基準からも,生活費非課税とした課税基準からもかけ離れ,所得が低くても生活保護を受けずに頑張っている市民を支える制度にはなっていないことも指摘されました。市は,「生活保護基準以下の収入であっても,国保に加入する場合は,一定の負担をいただくことが原則」などと言っていますが,これほど市民の気持ち,暮らしの困難を理解しない言葉はありません。「なかなか売り上げが伸びなくても,病気になったとき保険証がなくては医者に行けなくなるので,何とか国保料だけは払っている」「生活保護を受けずに商売も続け,借金も返済して頑張っていきたい」,これが多くの皆さんの気持ちなのです。そうした人たちがどうにもならなくなるのが今回の保険料の大幅な値上げであり,相次ぐ負担増なのです。
特に増税の影響は深刻です。6月には,住民税の公的年金等控除の縮小,老年者控除の廃止,住民税の高齢者非課税限度額の廃止などによって大幅な増税になり,介護保険料や国民健康保険料も増税の影響で雪だるま式に値上げになっています。この負担増は,10月からの70歳以上の高齢者の医療費の負担増,長期入院者の食費の負担増,居住費自己負担の導入と,さらには来年からは定率減税の廃止による増税とまだまだ続きます。一体この増税,負担増はだれが進めてきたのでしょうか。小泉内閣であり,自民党,公明党の連立政権であります。市民の暮らし第一に考える自治体であれば,こうした悪政に立ち向かい,せめて国民健康保険料を払える保険料にすべきであります。
新潟市は,その他繰り入れとして,かつては最高で15億円を一般会計から国保会計に繰り入れてきましたが,平成4年度にゼロとしたことを契機に繰入額は極端に減らされ,昨年度はゼロになってしまいました。これは,他の政令指定都市の取り組みから見ても異常な状況です。「政令指定都市,中核市では,繰り入れたからといって保険料が下がっているわけではない」などという主張がありますが,繰り入れなければ保険料はもっと上がります。政令指定都市では,今年度1世帯平均で1万6,246円の繰り入れをしていますが,そうやって市民の暮らしを支えてきているわけです。
新潟市は,市民の声に押され,十数年ぶりに10億円規模の繰り入れを復活させましたが,加入世帯平均で9,563円です。最高で15億円を繰り入れた平成元年当時,1世帯平均の繰入額は2万6,041円,一般会計に占める割合は1.16%でした。今回の繰入額は,1世帯当たりでも,一般会計に占める割合でも,当時の4割程度にすぎません。他の政令指定都市の状況からも,過去の新潟市の実績からも,今の繰入額は少な過ぎるものです。健全な国保財政の運営には,繰入額の一層の増額こそが必要であることを強く指摘するものです。
今回の直接請求運動にかかわり署名集めに頑張った皆さんは,どんなお気持ちで取り組まれたのでしょうか。亀田地域で400人もの署名を集めた69歳の男性の方は,「何から何まで上がり,苦しい市民の気持ちがわからないのなら,もう市長や行政に任せておけない。住民が運動し,政治を動かす意思を示さなければならないと思った」とおっしゃっておられます。また,初めて人に署名を頼んで40人も集めた高齢の女性の方は,「医療費も国保料も上がるようでは,安心して医者にかかれない。ここで立ち上がらなければならない。自分のためだと思って一生懸命取り組んだ」とおっしゃっておられます。市民の声を聞かない市政なら,自分たちで立ち上がってやらなければならないというやむにやまれぬ思いで直接請求に取り組み,条例の改正を提案されたわけです。こうした思いを議会が受けとめないで,一体どうするんでしょうか。
以上,直接請求によって提出されました議案第134号新潟市国民健康保険条例の一部改正についての賛成理由を述べてまいりました。負担増で苦しむ市民生活に目を向け,さらに定率減税の全廃や医療費の負担増がまだ待ち構えていることも念頭に置いていただき,やむにやまれぬ気持ちで取り組まれた多くの市民の皆さんの心をしっかり受けとめ,議員の皆様方からの御賛同を心からお願いいたしまして,私の討論を終わります。
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